全盛期のヴァイオリン演奏における技術的な特徴:
技術的な特徴の一つは、ヴァイオリンの持ち方にあります。
Yehudi Menuhinも指摘しているように、頭部、ヴァイオリン本体、肩から下の体の部分の3つがそれぞれ別々に動く状態で演奏していた傾向にあります。
また、Ruggiero Rricciが弟子に語った言葉で、次のようなものがあります。
『僕の世代では、ヴァイオリンを手でも支えていたけど、今の時代はヴァイオリンを持つのに主に首を使って弾いてます』
ヴァイオリン本体を首だけで持つことをせずに、左手、左腕も関与することによって、ヴァイオリンの重さを手で感じることができ、それよってヴァイオリンの存在を常により強く感じながら演奏できます。
また、万有引力の法則に従ってヴァイオリンの重さが手にかかりますので、手の握力や指の力を使って、手の方からヴァイオリンに近づかなくても勝手にヴァイオリンの自重で手に落ちてくるので、その分、余分な力を使わなくて済むのです。
一般的には、手でヴァイオリンを重さを支えると、手が自由に動かなくなるので良くないとい教えが、ヨーロッパでもありますが、それは、手だけで支えようとして、 首の側面や顎を使わずに支えようとするのが、良くないということです。
手で支えるのと、顎で固定するのと、どう使い分けるのかは、複雑で、、、
手でヴァイオリンを支える割合と顎でヴァイオリンを固定する割合は演奏しながら変化するのです。
また、手で支える割合が低くなって、顎を使ってヴァイオリンを固定する割合が増えるのは次の3つの時です:
1 ポジションの移動で下降する時
2 ヴィブラートをかける時
3 左手の動きが激しく、楽器が揺れる時
より自由にヴァイオリンを操作できる奏法ともいえます。
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